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民法総則判例

行為無能力

最判昭44年2月13日
無能力者であることを黙秘するのみでは民法20条にいう「詐術」にあたらないが、無能力者の他の言動などと相まつて、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときには「詐術」にあたる。

法人

最判昭45年6月24日(八幡製鉄政治献金事件)
法人の目的の範囲

最判昭39年10月15日
権利能力なき社団の成立要件として、「法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する」と判示した。

意思表示

最判昭45年7月24日
94条2項の第三者には、転得者も含まれる。
内田T[第2版]P56

最判昭44年5月27日
94条2項の第三者として保護されるためには登記の具備は不要である。
内田T[第2版]P58

最判昭45年9月22日
本来の意味での虚偽表示はないが、虚偽の外観を放置した点に帰責性ある本来の権利者につき、94条2項を類推適用した事例。
内田T[第2版]P59

最判昭40年6月4日
表意者に重過失があり、自ら錯誤無効の主張をなし得ない場合は、相手方および第三者も無効主張できない。
内田T[第2版]P71

最判昭40年9月10日
表意者が意思表示の瑕疵を認めず、錯誤による無効を主張する意思がないのに、相手方や第三者による無効を主張することは原則として許されない。
内田T[第2版]P72

最判昭32年6月7日
取消後の第三者と本人との優劣は登記の先後で決する。
内田T[第2版]P80

最判昭49年9月26日
取消前の第三者が96条3項で保護されるためには登記を具備している必要はない。
内田T[第2版]P82 但し、説示の先例性につき議論あり

代理

最判昭26年6月1日
予めなすべき行為が決まっていて新たな利益の変動のない場合には、双方代理を禁ずる108条の適用はない。
内田T[第2版]P132

最判昭42年4月20日
代理人の代理権濫用につき相手方が悪意の場合、93条類推適用によりその行為の効果は本人に帰属しない。
内田T[第2版]P134

最判昭28年4月23日
本人の死亡にもかかわらず代理権が消滅しないとの合意は禁じられていない。
内田T[第2版]P140

最判昭62年7月7日
(1)117条2項の「過失」は、重過失に限られない。
(2)無権代理人が表見代理の成立を抗弁として主張することはできない
※(1)(2)の判示の論理関係に注意
内田T[第2版]P152

最判平5年1月21日
無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。
※ 地位併存説及び追認不可分説に立つ
内田T[第2版]P158

時効

最判昭43年9月26日 他人の債務のために自己の所有物件に抵当権を設定した者は、右債務の消滅時効を援用することができる。

最判平10月6月22日 詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権の消滅時効を援用することができる


最判昭37年10月12日 債権者が受益者を相手どつて詐害行為取消の訴を提起しても、債権につき消滅時効中断の効力を生じない


浜松綜合法律事務所